2018年06月24日

路線バス

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(沼津千本松公園から駿河湾)

最近のテレビ番組で路線バスを乗り継ぐ旅というものがあります。路線バスしか乗れないという制約の中で目的地へ着くというものや、路線の店等を巡るというものです。これらは観光バスの旅とは一線を画しており、日常生活に利用するバスの沿線を楽しもうというものです。

サラリーマン時代は路線バスにあまり縁がありませんでした。通勤は鉄道利用、仕事でも地下鉄が便利な首都圏が主で、バスを利用することはほぼありませんでした。自分の中の感覚では、バスが定時に出発し到着するというイメージがなく、道路事情によっては予定が立たない、又、待っているバス停は炎天下や寒さがもろであり、トイレなどの設備がないという不便さを感じていたからです。

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(沼津御用邸)

しかし最近は横浜やその他の地域でも路線バスに乗るようになり、それも通勤時間帯ではありません。するといつもと違う人や生活を感じることができます。なによりも普段は通ることなかった見慣れない地域の道路を走り、普通車より高い位置の座席で自分の興味ある景色をゆっくりと眺めることができることが大きな利点です。

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さて、今回は沼津市内の路線バスに乗車です。沼津市街地は子供の頃の街の記憶と、その後家族旅行の思い出があります。

駅前のロータリには色々な方面へのバス停が沢山ありますが、1つ1つの時刻表のバス本数は決して多くありません。40年以上前に行った千本松公園へ行こうとバスへ乗り込みます。

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バスは沼津駅から駅前商店街を通ってメイン通りを進みます。バス座席の高い位置からは商店街の二階以上もよく見ることができますが、その寂れ様には愕然とします。県庁所在地以外の中核都市と言われている駅前の街並みはどこもそうなのですが、自分自身が中途半端にかつての記憶がある場所では「あれっ」と思うことがあります。

沼津はかつて中世、近世の城があった場所であり、また明治以降も御用邸や別荘地があった街です。バス路線の景色だけを見て「今,地方都市は?」ということは言えませんが、かつての駅前の賑わいを知っている者にとっては愕然です。

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(現在の井上靖文学碑)


そんな景色を見ながら、色々な思いが浮かんできました。
自分の畑もちょっと手を入れないと、すぐ背の高い雑草や笹が生えてきて元の野原になります。すぐに元の原野です。街も同じ。意気盛んだった場所もちょっと人の流れなどが変われば、人や街並みの気配が変わります。

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(かつて40年以上前にあったのはこの文学碑。しかし石碑はもっと長く、この場所ではなかったと記憶していますが・・)

その昔、戸田港で幼い子供が初めて鯵を釣り、鯵は足が速いからダメだと言っても「家で絶対食べるんだ」と言って駄々をこねた時の話。途方に暮れて沼津まで持ち帰った魚を近くのデパート地下の店員へ無理を言い、事情を察した中年女性が捌いてお土産用にしてくれました。家族にとってはいい思い出です。

そして、「あの人情は今でもあるのだろうか?」「いやあるんだろう」と考えていました。

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(若山牧水記念館。少ないバスの待ち時間に利用しました)
posted by 田舎おやじ at 12:50| Comment(0) | 日々雑感

2018年06月20日

ネブラスカ

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「ネブラスカ」というタイトルの映画作品に目が留まり視聴しました。何故「ネブラスカ」というタイトルへ目が留まったかというと、その昔子供の頃、家の近くにネブラスカ州出身の宣教師の方が住んでいたことを思い出したからです。

2013年のアメリカの映画ですが、カラーではなく白黒で表現しています。内容も最近の低音がどんどん鳴り響くアメリカ映画ではなく、日本映画的な繊細な心の動きの描写を感じるものでした。

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その昔、実家の近くの小高い丘の上に、数人の宣教師の住んでいる家(館)がありました。狭い日本の家の立ち並ぶ街の丘の上に松林があり、その広い敷地に芝生と松、厳めしい建物、そしてその周りには鉄条網が張り巡らされていました。その敷地の横に自分が通っていた幼稚園があり、子供心の中にもどんな人が住んでいるんだろうと興味津々でした。

自分が大学生になると、その宣教師の館でボランティアの英会話教室(教室といっても宣教師の人の部屋で数人の学生と1時間程度フリートーキングするというものです)があると聞き、週に1回、通ったことがあります。授業が終わるとお決まりの説教を聞くというものでした。

幼心の中にその館の住人はすごく高級な生活をしているだろうと思っていましたが、その中に入ると非常に質素な生活を送っているのを目にしたのです。年に1度のパーティ、パーティといっても手作りのアメリカンサイズのクッキーと豆のスープ、そして手作りの装飾がされた大きなテーブルで一緒に会食するというものでした。

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一番印象深いのは、その宣教師の年配の先生が会話の中でネブラスカ州の出身だと語った時の事でした。恐らくあの当時でゆうに60歳は越えていたでしょう。穏やかな顔立ちの奥さんと日本へ来た時の話、そして懐かしそうにネブラスカは大変な田舎であることを話していました。恐らく故郷へ帰りたいと思っていたのでしょう。しかし最後は宣教師の方らしく「それは神様のご意志です」と言っていたことを思い出します。

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さて映画の内容は、ある年取った痴呆になりかけの老人が百万ドルの賞金が当たったと勘違いをして、その賞金を受け取りへ出かけるという珍道中を描いたものです。その映し出される風景は、あの宣教師の方が話していたアメリカの田舎風景であり、どこか懐かしさを感じるものです。

もちろん映画作品であり、しかもわざわざ白黒で表現しており、そのような風景を特徴的に表していると思いますが、作品の所々で表現される現代的な要素、例えば街の看板は家のモーゲージローンの様なものであったり、町工場で働く労働者は外国語しか話さないという場面があります。そしてなにより、人の心の機微はどんなところでも変わらないと思わせる表現です。

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人はどうしても奇抜なもの(傾奇、かぶき)ばかりへ目が行き、アメリカの印象というとニューヨークやワシントンDCのリッチでラグジュアリーと思いがちです。又、アクション映画の騒がしくて生き馬の目を抜く人ばかりが闊歩している国と思いがちですが、基本的な所ではどこか通じ合うものを感じます。

心に残る風景とは、どこの田舎風景でも変わらないだと感じる映画作品でした。

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(近くの森で偶然見つけた「おおるり」。上手く写真で撮れませんでしたが、偶然の美しい青には感動です)
posted by 田舎おやじ at 10:39| Comment(0) | 日々雑感